2015年8月13日 (木)

【芥川賞】又吉直樹 『火花』

第153回(2015年)芥川賞受賞作品 ★

以下、ネタバレありの感想です。

「僕」こと徳永は、ぱっとしない若手芸人。熱海の花火大会での営業では自分たちの漫才に耳を傾けてくれる人もいない。
そんな徳永の前に現れた、先輩芸人、神谷。
社交的ではなく芸人仲間と打ち解けるのも苦手な徳永は、独自のお笑い観を持ち、それを徹底する神谷に心酔し、「師匠」と憧れる。

二人は夜な夜な飲み歩いては芸の道を語る。いつか売れる日のために・・・

***

「自分が面白いと思うことを追及すること」は、是か非か?

自分が面白いと思うことが世間には受け入れられない、という事実に直面した時、自分の軸がずれているからと考えて世間に合わせて軌道修正するか、面白さの度合いが足りないからと考えてさらに「自分が考える面白さ」の度合いを強めていくか。

何らかの創造的な仕事をしている人は、常に直面する葛藤ではないかと思います。

本作は、この葛藤と格闘する徳永と神谷の10年間にわたる対話の記録ともいうような物語。

二人はずっと同じところをぐるぐる回っているようにも見えますが、少しずつ変化し、その軌跡はあたかもDNAのらせん構造を思い起こさせました。

そして徐々にエキセントリックに、狂気さえ漂い始めるようになる神谷の姿に憧れ、理解しつつも冷静に見つめ、失望もしていく徳永。

しかし神谷をそこまで追い込んだのは、神谷に憧れ続けた徳永の態度があったからこそ
とも言えます。徳永にその自覚はあったのかどうか・・・

作者の又吉さんが芸人であることが大きな要因であると思いますが、二人の対話は、芸人ならではと思わせる機微があって説得力がありました。

ほとんどが食べていけずに辞めていく芸人の哀愁が全編に漂いつつ、又吉さんの芸人としての矜持が注ぎ込まれた、芸人だから書ける作品だなという印象を持ちました。

(芥川賞作品の中では、作中人物にどうしようもないリアリティを感じる点で西村 賢太作『苦役列車』に似ているように思いました。)

文章はとても丁寧で、特に最初の数行は「文学する」気合いを強烈に感じました。

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【芥川賞】羽田圭介『スクラップ・アンド・ビルド』

第153回(2015年)芥川賞受賞作品 ★★

以下、ネタバレありの感想です。

介護が必要な高齢の祖父と数年前から同居する28歳の孫の健斗。

健斗も祖父の介護に関わっているが、そのアプローチは毎日のように死にたいとぼやく祖父の"願望"をそのままの意味で本気でかなえようと考え、積極的に介護して祖父の自立的行動を奪い、早く弱らせるというもの。

この、ちょっとずれている健斗の視点から介護の現場を眺めることによって、「良い介護」とは何なのか、考えさせられた。

誰もが介護し、介護されるようになる時代。

パワーみなぎる若者である健斗は、弱っていく祖父を見ながら、この祖父の姿は将来の自分であるかもしれないと自覚するようになる。

介護する側、介護される側がともに幸せでありつづけられるには。

死にたいとぼやきながら生きることへの執着を見せる祖父の日常も、
健斗の決して悪意のない無邪気さも、どこかちぐはぐで、滑稽で、愛おしい。

介護をテーマにしていても決して深刻になっていないので、若者が共感しやすいのではないかと思う。

同期受賞作『火花』と比較することに意味はないと思いつつも、本作の方が読み手の肩に力を入れさせない文章のように感じ、素直に読みやすい作品でした。

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2015年3月 8日 (日)

人形劇シャーロックホームズ 完全メモリアルブック 買ってしまいました

買ってしまいました~。

「生真面目な証人の冒険」以降の各回の解説や、オープニングタイトル映像の制作裏話、パペットデザインの井上文太さんの記事、声優の皆さんの言葉など、パペットホームズの舞台裏を知ることができました。

ちなみに、2014年3月/8月先行放送された6話分の解説は、「冒険ファンブック」の方に載っているそうです。三谷さんのロングインタビューもあるらしいので、こちらも欲しくなってしまいます。。。

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