2014年8月30日 (土)

「君となら」(2014年版)感想

作・演出:三谷幸喜
出演: 竹内結子 草刈正雄 イモトアヤコ 長野里美 長谷川朝晴 木津誠之 小林勝也

【あらすじ】
父親よりも年上の恋人が家に訪ねてくることになり、主人公である娘は何とかしてやってくる人物が恋人であることを家族に知られないように嘘に嘘を重ねていくのだが、恋人の息子まで現れて、さらに事態は複雑になっていく・・・。

【パルコ劇場 特設ページ】
http://www.parco-play.com/web/play/kimitonara/

以下、少々ネタバレを含むかもしれないので注意です。

初演版を、その年にTVで放映されていたのを見てから、19年。
幕が開いたときには、ようやく生でこの作品を見られる喜びに浸りました。

筋は大体わかっているのに、やはり爆笑!

初対面の人物同士が出会うシチュエーションですが、主人公の「優しい嘘」によって、出会った人たち同士、お互いの人間関係を誤解していきます。
(おまけに、誤解の仕方はそれぞれの人ごとに違う)

真実を知らず、誤解している同士の会話がまったく成立していないのが面白いし、
真実を知る人物は、その誤解を誤解のままでその場をやり過ごそうとするけれど、ごまかそうとすればするほど、もっと新たな嘘をつき、自分たちはその嘘の通りの人物像を演じなければならなくなるのも面白いです。

さらに真実を知らない人物は、真実を知る人物たちが演じている合間にふと見せてしまう「真実の姿」の方を怪しみ、それを指摘すると、真実を知る人物たちが新たな嘘でごまかす。

こうして最初は些細な嘘でも、ごまかすために嘘を重ねていくにつれ、どんどん事態は複雑になります。

観客は、この複雑な事態をどう乗り切るのか、ハラハラしつつ、あまりに突拍子もないごまかし方に笑ってしまうのです。

これぞ、三谷シチュエーションコメディーの原点だと思いました。

一方で、初々しさのようなものを感じたのは、この作品が20年近く前のものだと知っているからというわけではない気がします。

2001年『バッド・ニュース☆グッド・タイミング』、2014年『酒と涙とジキルとハイド』と追うごとに1つのシチュエーションに対しての嘘の数は少なくなり、代わりにその1つの嘘=誤解を前提にした笑いを起こす数・・・笑いの濃度とでもいいましょうか・・・は、増えているように思います。

一方で『君となら』は、事態をごまかすための新しい嘘が次から次へと出てくるため、1つの嘘=誤解に対する笑いの数は少なくて、すぐに次の嘘がベースに移っていきます。

この、1つの要素にどれだけ笑いを詰め込むか、という「笑いの濃度」の点で、(僭越ながら)三谷さんはどんどん進化しているのかもしれないと思います。

さて、ずっと気になっていた「草刈正雄さん」問題ですが・・・。なにが「問題」なのかと言いますと、初演では主人公の母親が、娘の彼氏を「草刈正雄似」だと思っているのです。(初演には草刈正雄さんは出演していません)。それを主人公の家族で話題にするシーンがあるのですが、今回は主人公の父親を草刈正雄さんが演じています。なので、今回は「草刈正雄似」という話題のシーンで草刈正雄さん本人がいるということになるため、その設定はそのままなのだろうか?というのが気になっていたのです。
さて実際は…(ネタバレなりすぎになるため伏せますが)特別な感慨がありました。

また、醤油の容器がでてくるシーンがありますが、初演は一升瓶だったけれど、今回はペットボトルになっていて時代の流れを感じました。。。

◆初演版の感想
http://sapphire.tea-nifty.com/yoshinashi/2005/09/post_01d9.html

◆『バッド・ニュース☆グッド・タイミング』感想
http://sapphire.tea-nifty.com/yoshinashi/2005/09/post_db04.html

◆『酒と涙とジキルとハイド』感想
http://sapphire.tea-nifty.com/yoshinashi/2014/05/post-0aa2.html

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2014年8月 7日 (木)

楽しみ、『君となら』

いよいよ、2014/8/9(土)から始まる、三谷幸喜作・演出の舞台『君となら』。

1995年の初演をTV放送で見て(その感想はこちら)、演劇を見て笑いが口をついて出てしまうなんてことがあるんだ!とすっかり虜になってしまった作品の再演。

初見の方は、ぜひ

・嘘をごまかすためにさらに嘘を重ねて事態がどんどんややこしくなる面白さ

・誤解が誤解を生んで突拍子もない言動や行動をする人たちの面白さ

という、三谷コメディの真髄を堪能していただければと思います。

個人的に気になるのは、今回出演される草刈正雄さんの劇中での扱いです。

初演ではセリフで「草刈正雄」という名前が出てきたのですが、今回はどうなるんでしょうか・・・?

(と思っていたら、8/7付け朝日新聞夕刊の三谷さんのコラムで判明していました^^; )

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2014年7月 6日 (日)

「抜目のない未亡人」感想

原作:カルロ・ゴルドーニ 上演台本・演出:三谷幸喜
出演:大竹しのぶ 岡本健一 木村佳乃 中川晃教 高橋克実 八嶋智人 峯村リエ 遠山俊也 春海四方 浅野和之 小野武彦 段田安則

楽士たち 坂本弘道 園田容子 佐々木憲

新国立劇場にて観劇

【あらすじ】
結婚のため引退をしていた、元大女優・ロザーウラ。
未亡人となったことをきっかけに女優に復帰しようと、国際映画祭が行われているヴェネチアにやってきた。
ロザーウラ復帰の噂を聞きつけた4人の映画監督たちが、復帰作を撮らせて欲しいと彼女が滞在しているホテル・アマンテスにやってきて、彼女の恋人の座とともに復帰作の栄光をつかもうと熱烈アプローチしてきて・・・

ストーリーはシンプル。
4人の映画監督たちが四人四様にロザーウラの気を引こうと次々にやってくる。
笑いのネタがちりばめられて、あっという間の2時間弱。
加えて登場人物が多く、舞台上も華やか。
終盤の、大竹しのぶさんの七変化は圧巻。

以下、ネタバレを含みますのでご注意を。

まずは主役のロザーウラを演じる大竹しのぶさん。
過去の人と思われてしまっている大女優の面目躍如、4役を演じ分けて映画監督たちをギャフンと言わせる場面がありますが、それぞれ全く違う人に見えてすごい!

また、舞台の進行役を担うホテル従業員=八嶋智人さん、となるとピンとくるのが『バッド・ニュース☆グッド・タイミング』。
本作も『バッド・ニュース~』も、いわゆる「いい意味で後に何も残らないコメディ」である共通点があることから、三谷さんには八嶋さんがこういう役柄にはピッタリと考えているのかしらと思いました。

映画監督の一人を演じる高橋克実さんは、現実離れした(?)役柄ですが、熱演。

木村佳乃さんを『ただ美しいだけで演技はダメな女優』という役柄に配役する贅沢さ。

小野武彦さん演じるロザーウラの父親のちゃっかり者は、『王様のレストラン』のギャルソンを彷彿とさせて、ニヤリ。

この前の『酒と涙とジキルとハイド』に続き、純粋コメディ続きで、ファンとしては嬉しいです。

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